日本のホットスパーはなぜ消滅したのか?懐かしのコンビニチェーンの歴史

モミの木のマークが印象的だったホットスパーというコンビニ、覚えている人も多いはず!

1985年から2008年まで全国展開していたこのコンビニが、なぜ姿を消してしまったのか気になって調べてみました。

実はボランタリーチェーンという特殊な経営方式が関係していたようです!

1. ホットスパーってそもそも何だったの?

ホットスパーは、1985年3月に関東地域スパー本部が開業させたコンビニエンスストアでした。

もともとは1977年に発足した全日本スパーグループが、小型スーパーマーケット形態で展開していた「SPAR」から発展した業態だったんです。

SPARはオランダに本部を置く「SPARインターナショナル」の日本版として上陸していました

1985年11月には北陸スパー本部が日本海酒販と共に北陸ホットスパーを設立しました。

コンビニエンスストア業態の店舗は「ホットスパー」ブランドとして全国展開されるようになったんです。

2000年には全国で1350店舗を展開するまでに成長していました

当時としてはかなりの規模だったんですね。

2. ボランタリーチェーンの仕組みに問題があったの?

ホットスパーの経営方式は「ボランタリーチェーン」と呼ばれるもので、これが後の経営上の課題となりました。

ボランタリーチェーンでは、店舗のオーナーに経営の主導権があります

フランチャイズチェーンと違って、本部が経営に介入することなく独立して運営できるのが魅力でした。

商店主にとっては経営の自主性を保てるメリットがありました。

しかし反面、運営戦略が各地方・各店舗でバラバラになってしまう課題があったんです。

ボランタリーチェーンとは

店舗オーナーが経営の自主性を保てる一方で、運営戦略が各地方・各店舗でバラバラになってしまう課題を抱えた経営方式

全国一律の商品仕入れや物流共同化が推し進められず、スケールメリットを活かせない構造的な問題を抱えていました。

これがサクサクとした効率的な運営を妨げる要因となっていたようです

3. いつ頃から経営が厳しくなったの?

2000年代に入ると、ホットスパーの経営状況は変化していきました。

各地区本部が独立して運営していたため、統一性のある戦略が立てられなかったのが大きな要因だったと考えられます

1990年代後半には負債問題で閉店が相次ぎ、1999年には153店舗が一気に閉店する事態となりました。

2002年2月に宮城地区スパー本部からホットスパーコンビニエンスネットワークスにコンビニエンスストア事業が営業譲受されるなど、チェーンの再編が続いていました。

ホットスパーの店舗変更の流れですが、

1. 2004年2月 エブリワンが九州地域スパー本部を吸収
2. 2004年10月 ベルセンターがローソンに営業譲渡
3. 2004年11月 日本海酒販が北陸ホットスパーをポプラへ譲渡
4. 2005年5月 九州地域の87店全てをココストアへ転換

このような買収や転換により、店舗数の減少はさらに進んでいったんです

4. 完全に消えるまでどのくらいかかったの?

2007年11月14日、グループの中核企業であったホットスパーコンビニエンスネットワークスが、全店舗を「ココストア」に変更する方針を発表しました。

これが事実上のホットスパー終了の始まりでした

2008年2月から3月の2ヶ月間で既存店419店舗の内外装もココストアに切り替えられました。

2008年11月末で全日本スパー本部が国際スパー本部との契約を解消し、2009年2月末の総会で清算されました。

これで日本のスパー事業は事実上終了となったんです。

ただし、北海道スパーだけは国際スパー本部と直接契約を継続していました。

しかし2016年8月末を以てスパー本部との契約を終了し、これで一時は2000店以上あった「SPAR」が日本から完全に消滅することになりました。

5. なぜ他のコンビニは成功したのに?

同じ時期に成長していたセブン-イレブンやローソンなどは、なぜ成功できたのでしょうか?

最大の違いは経営方式にあったと考えられます

セブン-イレブンなどのフランチャイズチェーンは、本部が店舗運営に積極的に関与し、統一された戦略で商品開発や物流システムを構築していました。

一方でホットスパーは、各地区本部や店舗の独立性を重視したため、統一性のある成長戦略が取れませんでした。

成功したコンビニチェーンとの違いですが、

・24時間営業の導入の遅れ
・独自商品開発への対応不足
・統一された物流システムの未整備
・本部による店舗指導の不足

1980年代後半から1990年代にかけてのコンビニ業界の急成長期に、ホットスパーはこれらの革新的な取り組みに遅れを取ってしまいました

また、ほとんどのローカルコンビニチェーンは買収・合併の打診を受けてもらえず、経営課題に直面して営業終了となったという背景もありました。

業界全体がもっさりとした競争環境から激しい競争に変わっていく中で、対応が困難だったのかもしれません。

まとめ

ホットスパーは1985年から2008年まで23年間にわたって全国展開していたコンビニチェーンでした。

ボランタリーチェーンという経営方式により店舗の自主性は保たれていましたが、統一性のある戦略が取れず、コンビニ業界の競争激化に対応できませんでした。

結果的に大手チェーンに吸収されたり転換されたりして、2016年には日本から完全に姿を消してしまったんです。

モミの木のマークで親しまれていたホットスパーの消滅は、コンビニ業界の競争の激しさを物語る象徴的な出来事だったと感じます!